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たびのあとさき

ソウル在住もうすぐ19年目突入

日本人が知らない釜山少女像(慰安婦像)の本当の位置

日韓関係

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 在釜山日本国総領事館前に、韓国の市民団体が「平和の少女像(本来の名称とは異なるが、日本政府は慰安婦像との呼称を用いている)」を設置し、日韓間で外交摩擦となっている件は、現在も膠着状態が続いている。

 そうした中、日本側での議論を見ていると、像の設置場所についての不正確な情報が目につく。

 ただでさえ、位置関係や距離、像としての存在感は、現地に行ってみないとなかなか分からないもの。少女像設置に対する意見はどうあろうとも、像が実際どこにあるかくらいは、正しく把握して語る必要があるだろう。

 

  あなたは果たして、少女像の実際の位置を知っているだろうか? これが今回のテーマである。

 (なお、本エントリの写真は別途断った一部を除き、私が撮影したものです。無断転載を禁じます。)

 

少女像の位置は領事館の裏側だった

 夜明け前。静まりかえった通りを少女像の設置地点に向かって歩く。直前まで雑談に興じていた警察官たちが、私の姿を認めて持ち位置に戻る。少し申し訳なく感じながら、カメラを構える。

 そうして撮影したのが、この写真だ。釜山総領事館の裏口と、少女像との位置関係が分かると思う。

 そう、単純に釜山領事館「前」少女像と言い習わされているが、実際の場所は、領事館の裏手にあたるのである。これが一つ目の重要な事実だ。

 

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 この写真の手前左に見える柵状の門は、釜山総領事館の裏口だ(しつこいようだが、正門ではない)。裏口から、写真正面奥に小さく見える少女像までは、少し離れている。

 前方の緑がかったガラス造りの建築物は、地下鉄エレベータ(主に身体の不自由な方・高齢者用)の地上部分だ。エレベーターの入り口はこの反対側。つまり少女像はエレベーター裏側に隣接していることになる。

 このまま、少女像に近づいてみよう。

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 見ての通り、もともとエレベーターの地上部が歩道を圧迫しており、少女像が設置された部分は、そのデッドスペースにあたることが分かる。そのため像が、通行の妨げになることはない。すぐ後ろには交通量の多い道路が控えているが、近くに横断歩道はない。

 日中は、日本からの人も含め断続的に訪問客がある。人が集まっているときの様子を、裏口前から眺めるとこんな感じである。

 

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 像自体は物理的障害とならないとしても、仮に大勢が集まる場合などは、歩道を塞がないような配慮が求められそうだ。

 少女像が向いているのは、領事館周囲を張り巡らされた高い塀だ。領事館の建物の高層部分からも、少女像が視野に入ることはないだろう。

 

少女像前は通る必要のない場所

 二つ目の重要な事実。エレベーターがあることから分かるように、ここは地下鉄の駅(草梁駅)の真上にあたる。しかし、領事館入口に行く際に利用する地下鉄出口は反対側で、少女像の前は通る必要はない

 これについては、ツイッターで私の写真を見た元釜山在住の方から、こんなリプライをいただいた。

 

 在釜山総領事館の公式サイトの略図で確認してみよう。通常は5番出口を出て正面側に回るか、9番出口から反対側に回ることになる。どちらの場合も、少女像の前を通ることはない。

http://www.busan.kr.emb-japan.go.jp/files/000119161.jpg

                         (出典:総領事館案内 : 在釜山日本国総領事館

 このような質問もいただいた。

 

 略図では、領事館の大きさが誇張気味に書いてあるのでそのように見えるが、実際には(領事館に行く際には利用しない)7番出口からも、少し離れている。 

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 せっかくなので、道路の向かい側から領事館の裏手を撮影した画像で、地下鉄駅出口と少女像の位置関係を確認しておこう(ここからの写真3枚は韓国ネイバーの地図サービスからキャプチャしたもの)。

 まずは5番出口だ。領事館を訪問する際、通常はこの出口を利用して、正面玄関側(写真左手奥の方に進んで右折する)に回ることになる。この出口から領事館の敷地までは少し距離があることが分かる。

 

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 では、少女像のある、右側へと移動してみよう。この画像はまだ像が設置されていない時のものだ。領事館裏口前を固める警察官が10人ほど映り込んでいるのが見える。

 

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 さらに右側に移動してみよう。右端に7番出口が見える。少女像の位置からは離れていることが確認できた。

 

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領事館の正面玄関はどうなっている?

 次に領事館の正面側に回ってみよう。こちらは歩道もあまり広くない上に、道の向い側は再開発の最中だった。もし正面入口に近いところや向い側に像を設置しようとしても、現状、通行の邪魔にならない場所を探すのは難しそうだ。現在の設置地点は、(領事館に近い場所の中では)一番合理的な選択肢だったと言えるかもしれない。

 

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 領事館は、釜山や管轄地域に住んでいる日本人が、パスポートの切り替えや、各種の届け出に訪れるところでもある。オフィスアワーではなかったが、きょろきょろ覗いていたら、職員の方が出てきた。「裏に少女像ができて、騒がしかったりすることはありますか」と尋ねてみたところ、「いいえ、こっちに聞こえたことはありません」とだけ答えてくれた。

 

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 一方、この正面玄関の脇には、一人デモをしている女性がいた。サンケン電気という日本企業に対し不当解雇を撤回するよう、もう一年以上、平日は毎日交代で訴えているのだという。週に一度は集会も開いているそうだ。こうしたデモは、黙認されているのだ。

 

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像の存在を肥大化させていないか

 一通り、位置関係はつかんでもらえただろうか。先だって、今回の概要を写真付きでツイートした際には、こんなリプライをいただいた。


 ソウルの少女像もそうだが、こうした小さな像は、撮り方によって随分と存在感、印象が変わる。位置についても、説明を惜しめば誤解のもとになる。そのため今回のエントリでは、少女像の位置や、周囲の環境との関係を知ってももらうため、少し引いた目線で、周囲を歩き回る感覚で伝えてみた。

 日本政府の中枢から感情的と言えるほどの反発の声が聞こえてくる中、日本側で少女像の存在が実情を超えて肥大化している印象もある。まずは冷静に、事実関係を把握する姿勢を忘れてはいけないと思う。

 

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